⭐︎ガソリン暫定税率とは?
1. ガソリン暫定税率ってなに?
車やバイクに入れるガソリンには、税金(ぜいきん)がかかっています。その中に「揮発油税(きはつゆぜい)」や「地方揮発油税」というものがあり、その税金を一時的に高くする決まりを「暫定税率(ざんていぜいりつ)」といいます。
「暫定」とは「とりあえずの間」という意味です。
2. なぜ作られたの?
1960年代、日本は高速道路や橋などをたくさん作る必要がありました。
でもお金が足りません。そこで「ガソリンの税金を少し高くして、その分を道路づくりに使おう!」と決めたのです。これが暫定税率のはじまりです。
3. どれくらい高くなったの?
もともとの税金に1リットルあたり25円くらいを上乗せしました。
たとえば、ガソリンを40リットル入れると、上乗せ分だけで約1,000円の税金になります。
4. ずっと「暫定」なの?
本来は「しばらくの間だけ」でしたが、道路づくり以外にもお金が必要になり、何十年も続けられています。
だから「暫定なのに長すぎる!」といった意見もあります。
⭐︎いつ誰が作った?
ガソリンの暫定税率は、**1974年(昭和49年)**に作られました。
当時の日本は、高速道路や橋などの道路を全国に広げる計画を進めていましたが、建設に必要なお金が足りませんでした。
そこで、政府(当時の大蔵省と建設省)が「ガソリン税を一時的に高くして、その分を道路づくりに使おう」と決めたのです。
この「一時的に」が「暫定」という意味ですが、実際にはその後もずっと続いています。
暫定税率が続いている理由
- 道路整備がまだ必要だったから
1970年代以降も、日本では高速道路、橋、トンネルなどの建設が続きました。道路づくりにはとてもお金がかかるため、暫定税率による収入を手放せませんでした。 - 他の用途にも使われるようになったから
本来は道路だけのための税金でしたが、その後は公共事業や一般の国の予算(教育・福祉など)にも使われるようになりました。 - 安定した税収源になっているから
ガソリンを買う人は多く、税金として毎年安定した金額が入るため、国や地方にとって重要な収入源になっています。
結果
「暫定(とりあえずの間)」のはずが、50年以上続く制度になってしまいました。
これについては「もうやめるべき」という意見と「国の財政のため必要」という意見に分かれています。
⭐︎誰もやめようとしなかった?
やめようとした主な出来事
- 2008年(平成20年)の暫定税率失効
当時の国会で与党(政府)と野党が対立し、暫定税率を延長する法律が通らなかったため、
一時的に1リットルあたり25円分がなくなり、ガソリン価格が下がる出来事がありました。
しかし道路予算が減るという理由で、約1か月後に復活しました。 - 政治家や政党の公約
選挙のときに「暫定税率を廃止します」と公約に掲げた政党もありましたが、
実際には国や地方の予算の穴埋めが難しく、実行できませんでした。
なぜやめられないのか?
- 年間で数兆円の税収があり、これを失うと道路だけでなく他の公共サービスにも影響する。
- ガソリン税は取りやすく、安定して入ってくるため、政治家にとって手放しづらい。
- 財政が厳しい中で代わりの税金の方法が決まっていない。
⭐︎運送業は大変では?
運送業にとって暫定税率が大変な理由
- ガソリンや軽油を大量に使うから
トラックやバスは、1日に何十リットル、何百リットルもの燃料を使います。
暫定税率で1リットルあたり25円前後の上乗せがあると、1か月で何万円、年間では何百万円もの負担になります。 - 燃料費が上がると運賃に影響
燃料代が高いと運賃も上げざるを得ませんが、簡単には上げられません。
特に中小の運送会社は価格競争が激しく、赤字になってしまうこともあります。 - 物価全体への影響
運送業のコストが上がると、運ぶ商品の値段にも影響します。
食品や日用品もトラックで運ぶため、国民全体の生活費にも関わってきます。
実際、運送業界では「燃料税の軽減」や「暫定税率の廃止・引き下げ」を長年求めています。
でも国側は「税収が減ると財政が苦しくなる」という理由で、なかなか実現していません。
⭐︎もともとガソリンには税金がかかっているのでは?
もともとガソリンには「暫定税率」がなくても税金がかかっています。
ガソリンにかかる主な税金
- 揮発油税(きはつゆぜい)
ガソリンそのものにかかる税金。国に入ります。
→ 現在は1リットルあたり約28.7円。 - 地方揮発油税
地方(都道府県など)に入る税金。
→ 1リットルあたり約5.2円。 - 消費税
ガソリン本体の値段と、上の2つの税金を合わせた金額にさらに10%かかります。
※ 税金にまた税金がかかる「二重課税」になっています。
暫定税率はどこに関係する?
もともとの揮発油税と地方揮発油税に上乗せする形で設定されました。
たとえば揮発油税なら、本来の28.7円に暫定分25.1円を足して、合計53.8円になります。
つまり、ガソリン代の中には
- 本体価格
- 税金(揮発油税+地方揮発油税+暫定税率分)
- 消費税
がすべて入っているので、リッターあたりの半分近くが税金になることもあります。
⭐︎そもそも税金がかかっているのならやめるべきですよね?
そう考える人はとても多いです。
「もともとガソリン税があるのに、さらに暫定税率で上乗せするのは取りすぎではないか?」という意見は、昔から国民や運送業界、消費者団体などから出ています。
暫定税率をやめるべきだという主な理由
- 二重課税になっている
ガソリン税や地方税にさらに消費税がかかるため、税金にまた税金をかける状態になっています。 - 国民や企業の負担が大きい
燃料は生活や物流に欠かせないため、暫定税率分は物価全体を押し上げます。 - 本来の目的が終わっている
暫定税率は「道路づくりのための一時的な増税」でしたが、日本の高速道路網はほぼ完成しており、目的が薄れています。
それでも続いている理由
- 年間で数兆円の税収があり、やめると国や地方の財政に大きな穴があく。
- 高齢化で医療や福祉にお金がかかるため、他の財源に充てられている。
- 代わりの税収源がまだ決まっていない。
⭐︎今後どうなる?
1. 続く可能性が高い
- 短期的には廃止される可能性は低いです。
理由は、年間で数兆円の税収があり、これを失うと国や地方の予算に大きな穴があくからです。 - 特に高齢化で医療や福祉の費用が増えているため、国は安定した税収を手放しにくい状況です。
2. ガソリン車減少で見直しの時期がくる
- 電気自動車(EV)やハイブリッド車が増えると、ガソリンの販売量が減ります。
- そうなると、ガソリン税や暫定税率からの収入も減るため、新しい課税方法(例:走行距離課税や車種ごとの利用税)に移る可能性があります。
3. 環境政策との関係
- 二酸化炭素削減のため、政府はガソリン消費を減らす方向に進んでいます。
- 暫定税率を「環境税」に衣替えして残す方法も検討されるかもしれません。
4. 国民の反発が強まれば変更も
- 物価高や燃料高騰が長引けば、「暫定税率の廃止・減額」を求める声が再び高まります。
- 過去(2008年)のように、政治的な流れで一時的に廃止される可能性もあります。

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